母乳のためにもブラジャーは着けた方がいいワケとは?

こちらの記事の続編です。

授乳でバストが垂れてしまった・・とならないために知っておきたいこと。

一昔前までは母乳の出を良くするためには「ノーブラが一番」とも言われることがありました。けれど、母乳とバストの相関から考えるとそうとも言えないようなのです。

目次

ブラジャーは母乳に良くない?

私がマタニティ下着の仕事を始めた20年ほど前には、「ノーブラが一番」という意見も根強い時代でした。

その理由はブラジャーは母乳に悪影響を及ぼすからというものでした。ゆさゆさ自然にさせておくのがいいとか、バストトップと肌着が擦れて授乳のためのトップが鍛えられる(!)なんていう意見も聞いたことがあります。

ところで、母乳とブラジャーはどんな風に関係しているか?

そのキーワードは

母乳 = 血液 

であるということ。

よって、母乳の出をスムーズにするためには血流の良いバストまわりにしておくことが大事だといいます。

出産後1年間受けていた助産師さんからの母乳マッサージはまさに、バストの血流を良くさせるような施術でした。

バストまわりの血流を悪くするようなブラジャー、例えば硬い素材で作られたものや、着けると強い締め付けを感じるようなものは現在においてももちろんNGといえるでしょう。

けれど、すべてのブラジャーが体を締め付けるか?というとそうではないです。やさしくバストを支えるブラジャーというのもたくさんあります。

母乳を出しやすいバストの形とは?

妊娠授乳期の重みを増したバストは支えておくことが大事ですが、それは単に美胸という見た目のためだけではないのです。

バストまわりの血流のためにも一役買うのがブラジャーであります。

母乳の話でなぜゾウが?!ですが、関係アリなのです。

それは、ゾウをはじめとする四つ足で歩く哺乳類の乳房の形と人間のバストを比較、考察した内容から読み取ることができます。

おっぱい工場である乳腺組織は乳頭を中心に八方に広がっています。この乳腺と乳腺の間には脂肪組織があって、乳腺へ届く血管は脂肪組織の中を通っています。血管をゴムホースにたとえると、乳房の上側の血管は重さで引っ張られてキューッと細くなり、下側の血管は足で踏みつけられたような状態に。その結果、血液は交通渋滞をおこします。つまり、うっ血ですね。

乳房が本来の美しい円錐形を維持できて、乳腺組織に負担がかからないようにするのには、四つんばいが最もいい条件なのです。

中略

乳頭を中心に八方に広がる乳腺組織は、すべて同じ条件で血液が行き交うので、交通渋滞といったトラブルもおこりません。

哺乳類のお母さんで「母乳が出ない、足らない」と困っているのは、実は人間のお母さんだけ。他の動物たちの乳房は人間のように円錐形には盛り上がっていませんし、四つ足で歩くことは、乳房にとっていつも環境のいい暮らしをしているといえるのですから。

(出典元:「産後のボディ美しく」小森尚子著)

「産後のボディ美しく」は出版当時、ワコール社の社員であった小森尚子氏が執筆された産前産後の下着選びについての本です。

ワコール人間科学研究所の研究データなどを交え、妊娠授乳期の女性の体の変化や下着と体の関わり方を細かく分析した大変興味深い本で、私などはバイブルのように参考にさせていただいてきた本。

上記の引用を要約するとこんな具合になると思います。

母乳育児をする生き物で二足歩行なのは人間だけ。他の哺乳類は四つん這いで歩きます。

バストの状態はというと、四足歩行の動物は体から垂直にバストが下がる感じ。

一方、ヒトのバストはブラなしの場合、重力の通り地面に向かって下垂します。

重みで垂れ下がったヒトのバストは、バスト下部の血流がうっ血した状態に。血流がスムーズでないことは母乳にとってよろしくない。。

そこでブラジャーの出番。

ブラジャーをつけるとヒトのバストも円錐形に近づき、乳房の中に広がっている乳腺へは血液、すなわち母乳が行き交うので母乳を出しやすい形になるというわけです。

母乳育児にまつわる情報はまちまち

母乳育児にまつわる情報というのは本当に色々で、私がマタニティ下着の仕事を始めた頃などは「母乳のためにはノーブラがいいと助産師さんに言われた」という声もよく耳にしました。

けれど、母乳の出をスムーズにするためにはノーブラは良くないと私に教えてくれたのも助産師さんでした。

お世話になっていた助産師さんは40代後半の方。おばあさん助産師さんではなく、若過ぎず、年配でもない。マタニティブラジャーにどんなものがあるか?の知識は、古過ぎない方だったのではと思います。

「ノーブラは良くない」という理由は上に記した通り、重さによるうっ血を防ぐこと。

さらに、一世を風靡し書籍化もされた大人気母乳育児ブログにも同様の内容が記されていたのを目にした時、「ノーブラがいい」情報に感じていたモヤモヤはなくなったのでした。

ブラがNGというより、下垂がNGだった

母乳のためにはノーブラがいいとされた所以は恐らくこんな具合だったのでは?と思います。「血流を悪くするようなガッチリした寄せ上げブラを着けるよりはノーブラがいい」と。

「ノーブラがいい」だけが独り歩きした結果、産後のバスト下垂に泣いたママがいた、と思うと残念です。

「ノーブラがいい」説が多かった時代は、現在のように進化したマタニティブラジャーやノンワイヤーブラジャーがなかったことも関係あると思います。

最後に

厚生労働省が平成27年度に行った「乳幼児栄養調査結果の概要」によると、妊娠中に母乳育児に関する考え方を調査したところ、「ぜひ母乳で育てたいと思った」は43.0%、「母乳が出れば母乳で育てたいと思った」は50.4%。

母乳で育てたいと考えていた女性は合わせると9割を超える結果となっています。

美容目的のみならず、母乳のためにもバストのサポートは大事です。

日本にはラクな着け心地で授乳もしやすい優秀なマタニティブラが色々あります。

上手く活用してよりハッピーなママとベビーが増えることを願っています。

 

 

 

 

おがわめぐみ

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